[Intro] [Piano and solo violin play the original blossom motif at the tempo of slow breathing.] 東の庭に 椅子を二つ 茶を一つ注ぎ 一つは空のまま [Verse 1] 焼けた枝の根から 新しい芽が伸びた 庭師の孫の手が 若い土をならした 宮殿だった壁は 半分だけを残し 玉座のあった部屋に 今は薬草が育つ 私は冠を持たず 赤い鎧も着けず 白刃は鞘のまま 古い柱へ預ける 君の欠けた簪を 東の石へ置けば 朝露の一粒が 紅い先へと光る [Chorus] 春は戻れど君はなし 花は咲けども声はなし 二つの椀に風が満ち 一つの影だけ庭を行き 春は戻れど君はなし それでも花を守ってゆく [Verse 2] 子どもたちは戦を 昔話として聞く 誰が勝ったのかと 無邪気な顔で聞く 私は勝者の名も 滅びた家も教えず 源太と真弓と佐吉 君の本当の名を告げる 白い月の平野 血雨の石畳 燃えた朱の城と 開かれた都の門 美しく語るなら また旗が嘘をつく だから傷の形まで 静かな声で残す [Pre-Chorus] 忘れれば楽だと 季節は誘う 美化すれば誇れると 歴史は誘う けれど花びら一つ 鎧に残ったように 真実は小さくても 捨てずに抱いてゆく [Chorus] 春は戻れど君はなし 花は咲けども声はなし 二つの椀に風が満ち 一つの影だけ庭を行き 春は戻れど君はなし それでも花を守ってゆく [Piano Interlude] [Piano states the motif; violin adds the new descending fifth note for the first time.] [Bridge] 君を忘れぬことは 時を止めることではない 悲しみを抱くことは 生を拒むことではない 散る花を惜しみながら 次の芽へ水をやる 戻らぬ足音のため 歩く道を閉ざさない 名が伝説になるほど 人の顔は消えてゆく だから私の名には 弱さも罪も残してほしい [Buildup] [Soft toms and clean guitar are joined gradually by low distorted guitars and full strings.] 最初の刃より先に 花はすでに赤かった 最後の花が灰になっても 庭はすべてを覚えていた [Final Chorus] 春は戻れど君はなし 花は咲けども声はなし 二つの椀に風が満ち 一つの影だけ庭を行き 春は戻れど君はなし それでも花を守ってゆく 愛も地位も勝利も やがて土へ還るなら せめて私の名だけは 人のままで残したい 春は戻れど君はなし けれど君の文字はここにある 炎の後も庭は覚え 私も生きて覚えてゆく [Outro] [Distorted guitars withdraw; piano, violin and voice end together without fading.] 花は散る だから美しいのではない 散った者を忘れず 生きる者がいるから 東の庭に 椅子を二つ 茶は冷めても 春はここにある